代替療法の世界 第41回
「検査とエネルギー療法」

偽科学に惑わされるな

 科学と非科学の違いとは何であろうか。科学の定義は大まかに言うと

1、反証可能性
2、再現性

の2つを内包している。平たく言えば、誰でもその方法論を用いれば同じことができるし、誰でもその方法を試して、その真偽を確かめることができるのである。

 例えば料理。クックパッドや料理本でのレシピは、その通りに作れば同じ料理を作ることができるから、再現性が担保される。一方、レシピに手を加え調味料を変えてみたり、加熱時間を調整してみたりすることで、反証可能性を示すことができる。これが料理は科学と言われる所以である。
 

カイロもオステも基本は科学

 代替療法の世界では、カイロプラクティックにせよ、オステオパシーにせよ、前者は「哲学、科学、芸術」というスローガンを掲げているし、後者は「身体は一つのユニットである」としている。機能と構造は連関する。人体は自然治癒力を持つ。オステオパシーと名乗るには、これら3つが含まれていることが肝要であると主張する。

 どちらもその根底にあるのは科学である。であるならば、再現性と反証可能性は内包していなければならない。もし、それらを否定するならば、科学に立脚した代替療法を否定することになる。このロジックは非常に重要であり、エネルギーを扱う方法論にも適応されるのである。
 

エネルギー療法というブラックボックスも、科学の俎上

 では、科学的に捉えた場合、エネルギー療法にどうやって適応させれば良いのであろうか? ここで生きてくるのが検査である。エネルギー療法に限らず、何か検証したい療法があるとする。その方法論が、例えば右の骨盤の後方変位に対して、「右の側頭骨をハリセンで叩く」というやり方だとしよう。

 方法論が正解か不正解かはともかく、身体に影響を与えているならば、最初に検査をして、次にハリセンで叩き、再検査をすれば結果が出る。その結果、最初の状態が変化していなければ、「ハリセンで叩く」という治療法は効果がなかったと判定できるし、変化していれば効果があったという判定になる。で、この「ハリセンで叩く」というブラックボックスの部分をエネルギー療法に入れ替えれば、その方法論がどんなに奇異なものに見えても、結果が出れば認めざるを得なくなるのである。
 

見えないものにアプローチするには、見えるものを利用すべし

 当然ながら検査方法には、触診、理学検査(整形学的検査、神経学的検査、可動性検査)、バイオメカニクス、関節の遊び=モーション・パルペーション、膜のテンション、骨内病変、ベクター、内臓自動力ならびに可動力、頭蓋リズム、頭蓋病変、オーラ、神智学などがある。カイロ、オステ、エネルギー理論を混ぜて述べたが、この中でも理学検査、整形学的検査、バイオメカニクスなどの、基本の基と言われるものを疎かにはできない。

 意味するところは再現性の担保につながるので、これらがなければ再検査時に最初の状態との比較ができなくなる。これでは治療術の検証もままならない。特にエネルギー系の治療だと、「なんかボヤっと終わってわからない」となる。これはエネルギー療法が悪いわけではなく、ちゃんと検査をしない方が悪いのである。ちゃんと検査できれば、変化が起こらなかったときに、なぜ起こらなかったかの検証が行えるのである。検査を学びたければ、当サイト(科学新聞社)で提供している辻本善光氏の講座にて、基本と呼ばれるものは網羅されているので、興味のある御仁は申し込みされたし。
 

エネルギー療法の検証方法とは

 具体的な方法と順序は下記の通りになる。基本的には1から4の繰り返しになる。手の内というのは、古武道をされている方ならご存じであろうが、術者と相手(患者)をつなぐ手法である。興味のある方は古武道を学ばれることをお勧めする。特にエネルギー療法には必須の手法である。相手とのつながりが切れると、エネルギー療法は失敗する。

1、検査
2、手の内
3、エネルギー療法
4、再検査➡変化あり➡8へ、再検査➡変化なし➡5へ
5、手の内
6、エネルギー療法
7、再検査(変化あり➡8へ)
8、終了
 

エネルギー療法はシンプル

 扱うものがエネルギーであれ何であれ、基本構造は検査、治療、再検査この繰り返しである。基本に忠実に、そして検証は科学に則って行う。やることは非常にシンプルである。シンプルがゆえにあれこれ考えてしまって、基本構造から逸脱してしまうから違うものを追いかけたり、幻影を見たりするのであろう。

 そんなときには、本ジャーナル(紙)で以前紹介された、プラユキ・ナラテボー氏の手動瞑想をお勧めする。理由は、エネルギーワークを行っているのは「今ここ」であるから。その中にはもちろん量子論も入るので、未来も過去も内包するのであるが、それはまた別の機会に。特に手の内を使うのであれば「今ここ」の重要性が理解できるであろう。

 最後に、手の内は「溺れる者は藁をも掴む」「外尿道括約筋の弛緩」というキーワードも内包している。ということを書き添えておく。


山﨑 徹(やまさき・とおる)

はやま接骨院(高知県高岡郡)院長
・看護師
・柔道整復師
全日本オステオパシー協会(AJOA)京都支部長
シオカワスクールオブ・カイロプラクティック ガンステッド学部卒NAET公認施術者
 
看護師、柔整師の資格を有する傍ら、カイロプラクティックとの出会いからシオカワでガンステッドを学び、21世紀間際にスタートした科学新聞社主催の「増田ゼミ」 で増田裕氏(D.C.,D.A.C.N.B.)と出会ったことから、以後、氏の追っかけを自任し 神経学、NAETを学ぶ。現在は専らオステオパシーを学び実践しているが、これまでに 身につけた幅広い知識と独特の切り口でファンも多く、カイロ-ジャーナル紙から引き続き連載をお願いしている。

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