徒手療法の世界に身を置いて 第3回
正確な検査の重要性、必要性を求めて – Vol.3

なぜか「ROOKIES」

先日、プロジェクターを購入しようとネットを覗いていました。そうすると、ホームシアター用のプロジェクターが沢山出ていました。自宅で映画鑑賞、テレビドラマを大画面で楽しみたい方が多いのでしょう。

ドラマと言えば「半沢直樹」が高視聴率だったようですが、個人的には「ROOKIES」が印象に残っています。このドラマは佐藤隆太さんが演じる新人教師と、暴力事件を起こした野球部が甲子園を目指す青春を描いた、暑苦しいぐらいの青春ドラマでした。

佐藤隆太さんが自身、野球経験者ということもあってか、このときの好演で人気に拍車がかかったことから、所属事務所は彼のファンのために「すぶり部」というファンサイトを立ち上げたそうです。一人黙々と努力を続ける「素振り」が、日々精進に明け暮れる佐藤隆太さんのイメージに合う、ということで名づけられたそうです。もちろん読んで字のごとく、会員になるときも「入会」ではなく「入部」だそうです。

量も質も大切

この、バッティングの基本「素振り」ですが、適当にバットを握って、取り敢えず振っているだけでは、上手くなるにはとんでもない時間がかかるでしょう。握り方がおかしければ、きれいなフォームで打てるはずがありません。

腱反射ひとつ取ってもそうです。打腱器の握り方、打腱器の振り方、刺激を加える位置や、そこに打腱器を当てる角度と強さ。また適切な患者さんの姿勢(関節の位置)や、組織へのテンションも考えなければなりません。

これらがクリアされて初めて腱反射を行う準備ができるのです。その上で反射が起きる、起きないの判断を行います。ただ叩いて収縮が起こったからといって、的確だったことにはなりません。こういう使い方(質)を繰り返し練習する(量)ことで、やっと上手く腱反射を行えるようになってくるのです。

「治す施術」と「壊さない施術」

まだまだネット上では、「〇〇するだけで治る」とか、「〇〇症にはこれ!」みたいな広告を見かけますが、私がこの業界に身を置いて最初に言われたのが、「治らなくても患者さんを壊すな!」と教えられてきました。今でもそれは施術するときの大前提になっています。

しかし、患者さんが快方に向かわないとモチベーションが下がるのも事実です。この「治す施術」と「壊さない施術」の両方を満たしてくれ、その橋渡しとなるのが「検査」です。検査が「適切に」できていれば、患者さんの問題点もわかれば、やってはいけないことも見えてきます。

言うまでもなく、素晴らしい施術技術を持った先生ほど、的確な検査技術を持っています。彼らも一朝一夕で技術を身につけたわけではなく、「的確な」施術を行うための「適切な」検査を行うために、先に述べたような実際に行うための知識と、それらを実行するための反復を絶えず行った結果なんです。

未だコロナの影響が残りますが、知識などはwebの活用、技術は反復練習で「すぶり部」に「入部」してみてはいかがでしょうか?


辻本 善光(つじもと・よしみつ)

現在、辻本カイロプラクティックオフィス(和歌山市)で開業。
現インターナショナル・カイロプラクティック・カレッジ(ICC、東大阪市)に、22年間勤め、その間、教務部長、臨床研究室長を務め、解剖学、一般検査、生体力学、四肢、リハビリテーション医学、クリニカル・カンファレンスなど、主に基礎系の教科を担当。
日本カイロプラクティック徒手医学会(JSCC)学術大会でワークショップの講師を務め、日本カイロプラクティック登録機構(JCR)設立当初には試験作成委員をつとめる。
現在は、ICCブリッジおよびコンバージョン・コースの講師をつとめ、また個人としてはカイロプラクティックの基礎教育普及のため、基礎検査のワークショップを各地で開催するなど、基礎検査のスペシャリストとして定評がある。

 


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