徒手療法の世界に身を置いて
第26回 「もしもしカメよ、カメさんよ」
早いもので今年もあとわずか、1年が終わっていきますね! 今年はどんな年になりましたか? コロナによる行動規制もほぼなくなり、各種イベントやこの業界でも対面セミナー等が行われるようになりました。
ウサギとカメ
ウサギとカメの話は、皆さんご存じの通り、ウサギとカメが山の頂上に向かって競争する話です。ウサギはピョンピョンと跳ね、カメはノッシノッシと歩く、どう考えてもカメは追いつけないだろうと高をくくったウサギが昼寝をしている間に、カメに抜かれて負けてしまう話です。
この話を子どもたちに読み聞かせるときには、「ウサギさんのように自分を過信してはダメだよ」とか、「カメのようにコツコツ歩み続けることが大切なんだよ」なんて教訓も一緒に教えていると思います。
ウサギとカメの教訓
この話の教訓はいくつかあるようです。一つ目は「自分を過信しないこと」。二つ目は「コツコツ努力を続けること」。そして三つ目が「ゴールを決める」ということらしいです。ここで言うゴールとは山の頂上のことではなく、「カメに勝つこと」がウサギのゴールでした。頂上までの競争では勝てると高をくくっていたウサギは、カメより先に頂上に着けば良かったのです。一方カメはというと常に山の頂上を目指していたので、ウサギが寝てようが関係なく、ただただ山の頂上を目指したのです。その結果、ウサギはカメの動きに合わせて昼寝をしてしまい、負けてしまうということになりました。例え走るのが速くても、目的がなければそこにはたどり着けません。
自分の施術は大丈夫なのか?
患者さんを施術する場合、特に関西では1人でオフィスを切り盛りしている方が多いように感じます。基本的に他の施術者がいたとしても、患者さんとは1対1になるのですが、自身の考えや施術方法がすべてで、自分を信じるほかありません。そういう意味では、自信というのがなくてはならない要素になります。しかし、その自信というのはどこから生まれてくるのでしょうか?自信は努力の積み重ねることでしか生まれてきません。
自信とは
「解剖学、勉強しました」「触診して棘突起、横突起、触れますよ」。患者さんが治っているから解剖学を理解している、触診ができているとは限りません。私の周りの一流と呼ばれている先生ほど、治せているかどうかに関係なく、解剖学や触診の勉強を欠かすことなく続けておられます。
その勉強を続けていることで、患者さんがより良くなっていき、それが自信にもなる。ウサギのような過信ではなく、カメのような努力を続ける。そうすると周りが気にならなくなり、自分のことに集中できるようにもなります。「私はノロマなカメです」と割り切ってしまえば良いと思います。
さて、今年一年を振り返ってどうでしたか? 是非、来年は自分がやるべき「ゴールを設定」し、カメのような「努力」とウサギのような過信ではない「自信」を持って、やるべき日々の臨床に向かい合っていきたいですね。一年間、お付き合いいただきありがとうございました。来年もよろしくお願いいたします。
お身体ご自愛いただき、良いお年をお迎えください。
辻本 善光(つじもと・よしみつ)
現インターナショナル・カイロプラクティック・カレッジ(ICC、東大阪市)に、22年間勤め、その間、教務部長、臨床研究室長を務め、解剖学、一般検査、生体力学、四肢、リハビリテーション医学、クリニカル・カンファレンスなど、主に基礎系の教科を担当。
日本カイロプラクティック徒手医学会(JSCC)学術大会でワークショップの講師を務め、日本カイロプラクティック登録機構(JCR)設立当初には試験作成委員をつとめる。
現在は、ICCブリッジおよびコンバージョン・コースの講師をつとめ、また個人としてはカイロプラクティックの基礎教育普及のため、基礎検査のワークショップを各地で開催するなど、基礎検査のスペシャリストとして定評がある。
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