代替療法の世界 第40回
「神仏習合」

食い物の恨みは恐ロシヤ!

 宗教問題は根が深い。例えば、ロシアとウクライナの発端にも宗教問題が絡む。ロシア側の東方正教会とNATO側のプロテスタントだ。両者はキリスト教徒だが、大きく違う。ミサで使うパンも東方正教会では、酵母を使ったふっくらとしたパンだが、プロテスタント側では酵母を使わないから、硬くクラッカーのようなパンになる。

 こうしたしきたりにも両者はお互いを批判し合う。食い物の恨みは恐ろしいと言うが、戦争の発端にまで意外な恨みも隠れているようだ。幸いなことにわが国にも、古くから多少の宗教問題はあったが、外国のように多くの犠牲者は出ていない。元々あった神道に仏教が融和し、神仏習合という形で現在に至る。12月にはクリスマスを祝い、大晦日には除夜の鐘を突く、新年は神社にお参りをする。クリスマスはキリストの生誕だし、除夜の鐘は寺にある。

 多くの日本人は宗教に無頓着だから、こうした行事もすんなり受け入れている。なにせ神道は八百万(やおよろず)の神様だから、800万柱の神様が存在しているということになる。だから宗教に関して寛容で、仏教での神様も受け入れ文化の中にも取り入れた。だから年末から年始にかけては各宗教の行事に相乗りするのだ。正月のお年玉の風習も道教からなので、これも輸入した宗教である。
 

「ええじゃないか」の教え

 各教えにはそれぞれの教義があり、辻褄が合わないことも多かろう。しかしながら、それぞれの行事を受け入れている日本、日本人には、そうした潜在能力があるということであろう。徒手療法の世界にも等しくある。キーワードは「ええじゃないか」である。

  • 団体が違ったって「ええじゃないか」
  • カイロプラクターじゃなくたって「ええじゃないか」
  • もっとカイロプラクティックを学びたい。カイロプラクティックに興味がある。その気持ちがあれば「ええじゃないか」
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    仕掛人はYouTubeチャンネル「週刊カイロプラクティック」を運営する今増、眞﨑氏

     4月8日にKCSG(神戸カイロプラクティック スタディ グループ)の主催により、大阪で「ええじゃないか」をテーマに、「カイロプラクティック スタディ ミーティングKANSAI 第1回」と「カイロプラクティック ソウルナイトWEST」が開催された。内容は合同セミナーと銘打ってミニセミナー4本とソウルナイトだ。セミナーに登壇した講師たちも、それぞれが違った背景を持つ4人。ソウルナイトのスピーカーも同じく、個性豊かな面々だ。業界の垣根を越えての開催である。今回、音頭を取った今増心堂、眞﨑龍介氏はKCSGの舵取りをしながらYouTubeチャンネル「週刊カイロプラクティック by KCSG」を運営している。
     

    甘くて苦くて不思議な味

     そう言えば、4月8日はお釈迦様の誕生日で、その像に甘茶をかける習わしがある。この甘茶、漢方の世界では多くの漢方薬に処方される。「未来免疫学」でお馴染みの故・安保徹氏が、甘茶の成分は苦さと甘さが複合したものであると言った。安保氏は甘茶をマクロファージに例え、アドレナリン レセプターとアセチルコリン レセプターを持つマクロファージは交感神経、副交感神経両方の作用で働くと説いた。

     このどちらの効能も持つ甘茶、今回のテーマである「ええじゃないか」にもピッタリ合う。偶然とは言え、花祭りとソウルナイトという祭りが重なった。ミキサーとストレート、お互いにカイロプラクティックが好きという感情は本物だろう。それを拡充すれば神仏習合のように融和は望めないものだろうか。


    山﨑 徹(やまさき・とおる)

    はやま接骨院(高知県高岡郡)院長
    ・看護師
    ・柔道整復師
    全日本オステオパシー協会(AJOA)京都支部長
    シオカワスクールオブ・カイロプラクティック ガンステッド学部卒NAET公認施術者
     
    看護師、柔整師の資格を有する傍ら、カイロプラクティックとの出会いからシオカワでガンステッドを学び、21世紀間際にスタートした科学新聞社主催の「増田ゼミ」 で増田裕氏(D.C.,D.A.C.N.B.)と出会ったことから、以後、氏の追っかけを自任し 神経学、NAETを学ぶ。現在は専らオステオパシーを学び実践しているが、これまでに 身につけた幅広い知識と独特の切り口でファンも多く、カイロ-ジャーナル紙から引き続き連載をお願いしている。

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