代替療法の世界 第33回「ガチャポンと巻物」 コロナウイルス その1

童心に帰るガチャポン

子供の頃、スーパーマーケットに行くと店先にはガチャポンがあった。小銭を入れてダイヤルを回すと、カプセルが出てきて、中にはオモチャが入っていた。望むモノが手に入れられることは稀で、ほとんどはガラクタであった。それでも子供の射幸心を煽るには十分だった。スカを掴んでも、ガチャポンを回したのは自分自身。だから腹を立てることもなく次回こそは、と子供ながらに誓ったものだ。たまに良いモノを手に入れると有頂天になり、益々ガチャポンにのめり込むという。良いお客だった。このガチャポンのカプセルにはプラスチック容器が使われていて、中身を壊さぬような仕組みになっている。

 

正体見たり、コロナウイルス!!

われわれ人類を取り巻く環境に、ガチャポンのようなものが他にあるのか? 答えは、ある。それはウイルスである。巷を騒がしているコロナウイルス(以下コロナ)もその一つだ。ガチャポンは生物か? ただのプラスチックはもちろん生物ではない。人にうつるウイルスは生物ではないか? と思う御仁もいるかも知れない。確かにウイルスは人に寄生する。しかし、ウイルスも同様に生物ではないのである。なぜなら、ウイルスは食事もしないし、己一人の力では増殖することもできないから。

ウイルスの形は先ほどのガチャポンのようなものである。その中には、巻物が入っている。巻物には文字が書かれており、その文字が遺伝子情報である。いわゆるコドン(遺伝暗号)と呼ばれるもので、アデニン、グアニン、シトシン、チミンである。それぞれの頭文字はA、G、C、Tとなり、その中から3つが組をつくりアミノ酸をつくる。4×4×4で組み合わせは64通りある。64通りあるのだが重複するものを除くと、アミノ酸には20種類がある。そのアミノ酸が連なりタンパク質を形成する。ウイルスの主な役割は自分自身を増やすことである。

DNAやRNAから遺伝情報をコピーする。そのときに使われるのがメッセンジャーRNA(以下mRNA)である。mRNAが情報を伝達することで、元の遺伝子を傷つけることなくコピーをすることができるのだ。コロナを例に挙げると、RNAウイルスであるコロナはRNAを持つ。コロナに感染するとRNAの情報が転写されたmRNAが人体の細胞内に入る。身体はウイルスのmRNAに応じてトランスファーRNA(以下tRNA)が対となるコドンを連れてくる。そしてリボゾームRNAを経由してウイルスをコピーして増えていくのだ。

 

PCR検査の意味と目的は?

今では新株オミクロンが出てきて世界中が右往左往している。未知なるものに恐怖心を抱くのは当然だ。しかし対処法はある。恐怖心の克服は慣れるか、理(ことわり)を明らかにすることである。恐怖は感情がつくり出す、わからないから恐怖を生むのだ。まずはPCR検査から、この検査は何をしているのであろうか? インフルエンザやその他のウイルスを拾うから、信頼性はないという情報がまことしやかに伝えられている。が真実は違う。

平たく言うと、各種ウイルスにはそれぞれの特異的な印がある。巻物に記された文字を音楽の歌詞に例えると、それぞれのウイルスにサビの部分があるのである。いろんな歌が世の中にあるが、全く同じサビはない。それと同じようにウイルスも特有の遺伝情報を持つ。PCRは、そうしたサビの部分を増殖させる方法である。だから特定のウイルスを見つけることができるのである。コロナの場合はRNAの遺伝子からサビの部分を探すのだ。

人ゲノム計画は3000億円をかけ、世界中の科学者を総動員し13年がかりで30億文字の遺伝情報を解析した。今同じことをするとなると、予算、人、時間はどれぐらいかかるであろうか? 2021年の現在なら、1万円、1人、1時間で全く同じことができる。技術の進歩の賜物である。今では、そうした技術でウイルスの遺伝情報も容易に解析できる。

 

ウイルスに関しての基礎知識を問う

ここで〇×クイズを

  1. ワクチン接種者がPCR検査を受けた。その人のPCR検査で、コロナウイルスは見つかる?
  2. ワクチン接種後、副反応が強く出たが、副反応がほとんどない人と比べ免疫力はよりアップしている?
  3. mRNAワクチンは生体内でDNAに入り込む?
  4. RNAは安定しており、滅多なことでは壊れない?
  5. スプーン1杯の海水にウイルスは存在している?
  6. 人間は生まれながらにしてウイルスを身体に持っている?
  7. DNAウイルスは突然変異をする?
  8. RNAウイルスは突然変異をする?

クイズの答えは次回に示すが、問1にこそ、mRNAワクチンの妙がある。今までにあった不活化ワクチン、生ワクチンとは全くの別物である。この辺りのメカニズム並びに、ハンガリーのカタリン·カリコ女史の開発までの40年の歴史などは、とても面白い。近い将来、不世出の科学者カリコ博士はノーベル賞を取るだろう。前哨戦であるルイザ·グロス·ホロヴィッツ賞を受賞している。前哨戦と言われる理由は、この受賞者の半数近くがノーベル賞を取っているからである。

 

すべての判断はご自身で

生きていくということは感染症との戦いでもある。大人になっても、何が出るかわからないガチャポンを回し続けているようなものだ。その中には既存のウイルスもあるし、未知のウイルスもあるだろう。特効薬がない未知のウイルスが現れても、mRNAワクチンは時間稼ぎになる。ワクチンを打たない自由もあるし、打つ自由もある。判断する材料はネットや本で十分に手に入れられるが、注意が必要である。YouTubeなどの視聴回数により利益が得られるものは十分な根拠が薄い場合があるから。

感染症はいつ罹るかわからない。重症化するかもしれないし、軽い症状で収まるかもしれない。はたまたサイトカイン·ストームで命を失うかもしれない。自覚症状がないまま感染し治癒していることもある。打って後悔、打たなくて後悔。どちらにしても決めるのは自分自身だ。


山﨑 徹(やまさき・とおる)

はやま接骨院(高知県高岡郡)院長
・看護師
・柔道整復師
全日本オステオパシー協会(AJOA)京都支部長
シオカワスクールオブ・カイロプラクティック ガンステッド学部卒NAET公認施術者
 
看護師、柔整師の資格を有する傍ら、カイロプラクティックとの出会いからシオカワでガンステッドを学び、21世紀間際にスタートした科学新聞社主催の「増田ゼミ」 で増田裕氏(D.C.,D.A.C.N.B.)と出会ったことから、以後、氏の追っかけを自任し 神経学、NAETを学ぶ。現在は専らオステオパシーを学び実践しているが、これまでに 身につけた幅広い知識と独特の切り口でファンも多く、カイロ-ジャーナル紙から引き続き連載をお願いしている。

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