徒手療法の世界に身を置いて 第49回
「Subluxation(サブラクセーション)とFixation(フィクセーション)」
徒手療法ではフィクセーションという言葉がよく出てきます。さらにカイロプラクティックでは、その定義の一つにも挙げられるサブラクセーションという言葉がよく出てきます。
サブラクセーションという言葉が持つ意味
サブラクセーション、これがカイロプラクターによって解釈がまちまちです。あるカイロプラクターはサブ/ラク/セーションとして、光(生命力)が減少した状態と解釈し、また別のカイロプラクターはサブ/ラクセーションとして亜脱臼と解釈します。カイロプラクティックは、フィロソフィー(哲学)、サイエンス(科学)、アート(芸術)の3要素から成り立っています。哲学的には前者のように生命力の減少として捉えた方が、カイロプラクティックの独自性が保たれるのかもしれませんが、実際の臨床では骨/関節における関節面の不一致(よく骨のズレと表現されますが…)と、可動性の減少により評価されます。
可動性の減少はサブラクセーション?
科学性を重んじる代表格のカイロプラクターにDr.ジレーがいます。彼は臨床面から見て、カイロプラクターが取り扱う問題をサブラクセーションよりもフィクセーションとした方が、より近い(現実的)と表現しています。また、「カイロプラクティック動態学」(科学新聞社刊)や「カイロプラクティック・テクニック総覧」(エンタプライズ刊)では、フィクセーションの説明を以下のように説明しています。
1. 運動時に静止状態で動かないもの
2. 静止時に運動の位置にあること
こうなると、臨床上のサブラクセーションは、フィクセーションということになってきます。
サブラクセーションはフィクセーションなのか?
サブラクセーションを評価する上で5つの項目があります。それは痛み、異常なアライメント、可動性、トーン、特有の検査がそれであり、それぞれの頭文字をとって「PARTS(パーツ)」と呼ばれています。それからすると、フィクセーションはこれらのうち「AとR」しか満たしていないことになり、サブラクセーションと類義語であっても同じものではなくなります。
臨床的指標は1つ
臨床的にはまず、「ズレた」椎骨を探し、そこの可動性を検査するのが手っ取り早いでしょう。ズレていても可動性があれば、サブラクセーションにもフィクセーションにも当てはまらくなります。つまり、「構造より機能」が優先されるということになります。関節機能、神経機能、自律神経機能と様々ありますが、関節機能は特に運動器に影響し、神経機能は痛みなどと関係が深いでしょう。そして自律神経機能とは、人が生きていくためになくてはならない機能となります。大切なことは、カイロプラクティックであれオステオパシーであれ、徒手療法家としての目的と方法論を誤らないことです。また、自分たちの仕事で優先されるべきは、構造ではなく機能の正常化であることは間違いのないところではないでしょうか?
Webセミナー徒手療法家のための基礎講座『カイロプラクティック動態学を読む』
辻本 善光(つじもと・よしみつ)

東大阪市にあったインターナショナル・カイロプラクティック・カレッジ(ICC、旧・国際カイロ)に22年間勤め、その間、教務部長、臨床研究室長を務め、解剖学、一般検査、生体力学、四肢、リハビリテーション医学、クリニカル・カンファレンスなど、主に基礎系の教科を担当。
(一社)日本カイロプラクティック徒手医学会(JSCC)の学術大会ではワークショップの講師を、日本カイロプラクティック登録機構(JCR)の設立当初には試験作成委員を務める。ICCブリッジおよびコンバージョン・コースの講師、また個人としてはカイロプラクティックの基礎教育普及のため、基礎検査のワークショップを全国各地で開催するなど、基礎検査のスペシャリストとして定評がある。
コメント
この記事へのコメントはありません。
この記事へのトラックバックはありません。