徒手療法の世界に身を置いて
第24回 コンフィデンスマンの世界へようこそ!
コンフィデンスマン(=信用詐欺)
10月に入り衣替えの季節になりました。衣替えなどは季節の移り変わりを感じる行事となっていますが、テレビ業界で新番組がスタートするのも、この時期ですね。昔、「コンフィデンスマンJP」というドラマがありました。ドラマだけではなく映画も3本上映され、人気の高さがうかがえます。
このドラマは3人の詐欺師が様々な仕掛けや根回しをし、悪徳商法などで違法に富を得たターゲットを、騙していくというドラマでしたが、主人公とターゲットのやり取りが二転三転するのが痛快でした。
目に見えるものが真実とは限らない
「目に見えるものが真実とは限らない。何が本当で何が嘘か。この世界は現実なのか。あなたが見ているのは夢なのか。コンフィデンスマンの世界に、またいつか」。これは最終話での主人公の冒頭のセリフです。毎回放送内容に合わせて変わっていくのですが、このセリフの裏には哲学者などの格言を参考にしているようです。
因みにドラマ最終話となったこの回のセリフに隠された格言は、「真実を見つけたものを疑え。真実を探しているものを信じよ」(アンドレ・ジット)だそうです。毎回、ターゲットに合わせたセリフが準備されているようなのですが、毎回変わらないのが冒頭の一文でした。この一文はすごく興味深く今でも記憶に残っています。
表裏一体
物事には必ず表と裏があります。表だけを見ていれば裏が見えないし、裏だけを見せていれば表は見えない。そして沢山の「嘘」の中に少しの「真実」を織り交ぜることで、少しの「真実」を信用してしまうのが人の性なのかもしれません。そうなれば「コンフィデンスマン」の思うツボです。では、徒手療法の世界だったらどうなのでしょう? 言うまでもなく、至るところに「コンフィデンスマン」が潜んでいます。
整形外科テストという「コンフィデンスマン」
整形外科テストはコンフィデンスマンの宝庫です。数々の書籍が出ていますが、その内容はテストのやり方と、どんな病変が示唆されるかが書かれているだけ。施術者の欲しい情報がそこにあり、そのテストを行えば欲しい結果が得られます。ですが、施術結果はどうなるでしょう?
施術者が欲しい情報、欲しい結果という少しの「真実」のためにそれを信用してしまう。具体例は次回のコラムで紹介させていただきますが、待ちきれない方は、今までのコラムやWebセミナーの資料を参考にしていただきたい。
「目に見えるものが真実とは限らない。何が本当で何が嘘か。」
「真実を見つけたものを疑え。真実を探しているものを信じよ。」
たまには、見つけた真実を疑ってみるのも良いのではないでしょうか?
辻本 善光(つじもと・よしみつ)
現インターナショナル・カイロプラクティック・カレッジ(ICC、東大阪市)に、22年間勤め、その間、教務部長、臨床研究室長を務め、解剖学、一般検査、生体力学、四肢、リハビリテーション医学、クリニカル・カンファレンスなど、主に基礎系の教科を担当。
日本カイロプラクティック徒手医学会(JSCC)学術大会でワークショップの講師を務め、日本カイロプラクティック登録機構(JCR)設立当初には試験作成委員をつとめる。
現在は、ICCブリッジおよびコンバージョン・コースの講師をつとめ、また個人としてはカイロプラクティックの基礎教育普及のため、基礎検査のワークショップを各地で開催するなど、基礎検査のスペシャリストとして定評がある。
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