『科学新聞社プレゼンツ 10月イベント』
その5 ”ドクター” 塩川満章氏

 1980年代前半の頃、日本橋の氏のオフィスに出入りしているうちに、ほぼ同世代のスタッフ(芝崎、神庭、伊東、建部氏ほか)と仲良くなっていった。そうこうしているうちに、いつの間にか私も氏をドクターと呼ぶようになっていた。特に芝崎氏とは、その後、ドクターのビデオや書籍を、ルネッサンス・ジャパン=作る人、科学新聞社=宣伝し売る人というパートナーシップができ上り、かなりの仕事をした。

 80年代の後半から95年の百年祭まで、何度かツアーを組んでパーマー大学やガンステッド・クリニックを訪問した。そうすると、必ずと言っていいほどジャケット、ネクタイ姿の私を見て、「どこから?」と聞いてくる。「日本」と答えると「Do you know Mitsu?」、誰のことかすぐわかったので「Of course!」と答えると、「そうか、私はミツの~」と説明してくる。わかってもいないのに何度か、日本人特有の笑顔で頷いてみせ誤魔化したことがあった。百年祭の頃には調子に乗って「Dear friend」と答えて、大歓待を受けたこともあった。当時、外国人から「彼を知っているか?」と聞かれたのは、後にも先にも彼一人。私にとっては「世界のミツ」、他に名だたるDC諸氏がいようとも、プロ野球の長嶋茂雄氏ではないが、日本におけるミスター・カイロプラクティックは彼と言っても過言ではないと思っている。

 今もそうだが、ドクターのところに行くと面食らうことが多い。まず患者層が、とにかく凄い! 組織の名前は聞いたことがあっても、それがどれほど凄いところなのか、想像もつかないその筋の大親分さんや、ショー・コスギ、スティーブン・セガール、ちょっと変わったところで、プロレスラーのタイガー・ジェット・シンなど海外の有名人、政財界のお歴々、角界の親方はじめ関取衆やプロスポーツ選手、誰もが知っている有名漫画家、歌舞伎役者やタレント、枚挙にいとまがない。

 こんなこともあった。カイロ連主催のイベントの最中に、ドクターに「来日中のイーグルスのメンバーのケアをしてほしい」という依頼が入った。またもや、えーっとなったが、「イーグルスって?」と聞いてきたから、「アメリカの超有名なロックバンドですよ!」と答えると、「歌い手?」ときた! だが、いざ行ってみて何かを感じたらしく、「凄い人たちなんだね!」と言ってきたが、ホントにわかっていたのかどうか? とにかく、こんな話はざらである。

 そんなドクターとプライベートで行動を共にすることが多くなり、よく人に「ドクターのエピソードだったら1冊の本が書けるよ」と言うことがあったが、それくらい平然といろんなことをやってくれるのである。ある駐車場にその筋の方々がたむろしていた。「近づかないで」の祈りも空しく、バックで停めにいって相手を慌てさせたり、有名焼肉店で腐りかけた肉を出されたのに支払いをしようとしたり、出されたラーメンにいきなり氷を入れたり、紹介したいエピソードが次から次に出てくる。もしそんな機会があったら、ドクターの語り部となってオフレコなしで語りたいものだと思っているが、どう考えてもできないことを言っちゃいけませんね!

 先日も今回の講演のタイトルを聞きに行ったら、「雅士(ジュニア、双子の長男)のところに行こう」と銀座の新しいオフィスに行った。これがまた、そんじょそこいらにあるオフィスとは格が違う、とんでもない構えに驚いた。父子と会話をしながら昼食を共にし、ドクターと新橋まで戻ってくると、「1時間、時間ある?」と聞かれ、「1時間なら」と答えると、「カラオケ行かない?」ときて、平日の昼下がり、70過ぎのおっさん(じいさん)2人でカラオケに興じた。ドクターの石原裕次郎、なかなかのものですよ! そうして「ソウルナイト、僕も話すよ!」と、さらりと嬉しいことを言ってくれる。だから、この人との付き合いはやめられない!

斎藤 信次

 

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