岡井健DCのI Love Chiropractic ! 
2022年9月
「9月18日、今年もやってきますカイロプラクティック・デー!」

 皆さんお元気ですか? 本欄には久しぶりの投稿となります。

 8月に27年間頑張ってきたベイエリアの2つのクリニックを無償で譲渡し、新たな挑戦をハワイ島コナで開始したところです。今度のクリニックは今までの2つのクリニックの半分の面積ですが、どうにか治療室も3室確保し、狭いながらも快適です。

 9月1日に入居し、数日かけて荷物の搬入や掃除をしました。足りないものもたくさんあって、近所のお店やAmazonで買い物の日々です。「あれっ、クリップがない。マジックがない。ホッチキスの針がない」なんて感じです。今まで当たり前にあったものがなくて、当たり前にいた患者さんもいなくて、まさに一から出直し状態です。

 「不安はないのですか?」 私が築き上げたすべてを譲渡して、新たな土地で開業するにあたって、いろんな方から同じ質問を受けました。生きていれば人は誰でもある程度の不安があります。不安があるのは生きている証拠だとも言います。だけど、不安にばかり目を向けるのは私のスタイルではなく、どうして皆さん、そんなに不安のことばかり聞くのかが不思議で仕方ありませんでした。私にとって不安は小さなことで、それよりも、この年齢で新たな挑戦をさせていただけることへの喜びや感謝、期待の方が遥かに大きいのです。

 私がまだ若かった頃、ある日系人の年配の患者さんが言っていた言葉が今でも心に残っています。それは「私が受けた教育だけは誰も私から奪うことはできない。教育から得た知識はとても大切で私を守り、助けてくれた」。もちろん英語で話されたんですけど。

 カリフォルニアには日系人の方がたくさんいらっしゃいます。戦時中に敵国で、どれだけの迫害を受けてきたか、実際にはわかりません。でも、テレビや本で知ることもできるし、日系人の方から直接お話も聞いてきました。だけど体験はしていません。身をもって体験をしていないので、その当時の日本人が受けたであろう屈辱や恐怖、不安、理不尽さ、怒り、悲しみ、やるせなさなどを本当の意味では理解していません。

 異国で地べたを這いつくばるような思いをして、築き上げたすべての財産を奪われ、日系人キャンプに収容された人は、人としての尊厳まで奪われたかもしれませんが、それでもそこから再び立ち上がるのに必要な教育や知識、経験は誰も奪うことはできませんでした。戦後、アメリカで生きるために日本語を捨て、英語教育でその優秀さを発揮し、その勤勉さも評価されてアメリカ社会で活躍するようになったのです。その恩恵を受け私のような新一世と呼ばれる日本人は、アメリカ社会で快適に生活できる環境を与えられたのです。だから日系人の方には感謝もするし、その方が言った言葉の重みもよくわかるのです。

 例え27年間築き上げたクリニックを手放して、新たな土地に行っても、私が受けた教育や培った知識、技術、そして経験は変わらず私の中にあります。それが自信となって私を守り助けてくれる、だから何の心配もないのです。

 今度の日曜日は9月18日。カイロプラクティックの誕生日です。昨年の9月18日は1日に100人をアジャストし、そのあと大急ぎで帰宅し日本へ向けてカイロデー記念Zoomセミナーをしました。もう既に懐かしい。今年は100人の患者さんはいませんが、その日に新しいクリニックのオープンハウスをします。

 果たして何人の人が来てくれるのでしょう? この10日間でいろいろな方に声をかけ、家族や知人の手助けでチラシを配りました。銀行に行けば名刺を手渡し、テイクアウトをすれば名刺を手渡しとやってきました。その結果が良ければ大いに喜び、今一歩ならまた次と頑張っていけばいいだけの話。

 11月には3年ぶりに私のセミナー「マイプラクティス」を東京で開催します。そして、ソウルナイトも。渾身のセミナーをしたいと構想中です。私のセミナーは奇をてらったものではなく、当たり前のことを私の中で噛み砕いて消化し、私のテイストでプレゼンするものです。

 テクニックだけではなく、クリニックの経営面から、患者さんのマネジメント、自己啓発と内容は多岐にわたります。このマイプラクティスで刺激を受けて成長してきたカイロプラクターはたくさんいます。そして、立派に成功してからも、また繰り返し受講しに来る。なぜなら成功する人ほど、基本や当たり前のことの大切さを知っているからです。刺激を受けて気持ちを新たにしてまた患者に向き合うと、違いがはっきりとわかる人たちなのです。

 よくセミナーに、簡単にマスターできるアジャストメントのコツや、カイロプラクターとして成功する秘訣を知りたい、という方が来られます。気持ちは痛いほどよくわかります。でも私の答えは、当たり前のことばかり。高い志を持ち、自分が生業としているカイロプラクティックを愛して、患者さんのことを大切に思い、誰にも負けない努力をするということ。これがしっかりとできれば、絶対幸せなカイロプラクターになれると保証します。

 皆さん、9月18日は是非カイロプラクティックの先人たちや患者さんに感謝し、カイロ愛を確認して気持ちを新たにしてみてはいかがですか。ぶれない自分の在り方を築くために、とても大切なプロセスであることに間違いありません。そして11月は是非、私のマイプラクティスを受講して、ソウルナイトで一緒に熱くなりましょう。


岡井健(おかい たけし)DC
1964年7月4日、東京生まれ。福岡育ち(出身はこちらと答えている)。
福岡西陵高校を卒業後、1984年単身アメリカ、ボストンに語学留学。その後、マサチューセッツ州立大学在学中にカイロプラクティックに出会い、ロサンジェルス・カレッジ・オブ・カイロプラクティック(LACC)に入学、1991年に同校をストレートで卒業する。
在学中はLACCでのディバーシファイド・テクニックに加え、ガンステッド、AK、SOTと幅広いテクニックを積極的に学ぶ。
1992年、カリフォルニア州開業試験を優等で合格。1991年から1995年まで、カリフォルニア州ガーデナの上村DC(パーマー大学出身)のクリニックで、アソシエート・ドクターとして勤務した後、サンフランシスコ空港近郊のサンマテオにて開業。2001年にはシリコンバレーの中心地、サンノゼにもクリニックを開業し、サンフランシスコ・ラジオ毎日での健康相談や地方紙でのコラム連載でも活躍。
2022年8月に27年間経営したカリフォルニアのクリニックを無償譲渡し、2022年9月よりハワイ島コナに新たにクリニックを開業。庭仕事、シュノーケリング、ゴルフを楽しんでいる。
また、積極的に留学中の学生たちの面倒を見、その学生たちの帰国を皮切りに日本での活動を始める。科学新聞社(斎藤)との縁は、2005年に出版した「チキンスープ・シリーズ カイロプラクティックのこころ」の監訳に始まり、以降15年以上にわたって出版物、マイプラクティス・セミナ、カイロ-ジャーナル記念イベントなど、またカイロプラクティック・クラブとして「ソウルナイト」(スタート時はフィロソフィーナイト)など、ありとあらゆる場面で協力関係にある。

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