徒手療法の世界に身を置いて 第51回
「椎体間関節なのか、椎間関節なのか?」
前回、脊椎骨の連結として椎体間関節と椎間関節の2種、3部位あることをお話しさせていただきましたが、今回はその3つの関節複合体のうち、どの関節の関与が問題かを見つけるためのお話しをさせていただきます。
椎体間関節
椎体間関節は上下椎の椎体と椎間板からなる関節です。そのため、椎体の動きには椎間板が影響します。しかし椎間板は、屈曲運動すなわち屈曲,伸展、側屈によって髄核が対側に移動し、回旋運動においては髄核の移動はほとんどありません。
椎間関節
椎間関節は様々な運動によって、その位置を変化させます。屈曲では左右の下関節突起が前方上方に動き、伸展では左右の下関節突起が後方下方に動きます。回旋では回旋側が後方に、対側では前方に動きます。
検査法
患者の肢位は腹臥位でも坐位でも構いません。まずは頚椎なら椎弓板、胸椎なら横突起、腰椎なら乳頭突起の位置を確認します。例えば腰椎の乳頭突起が、右後方(左前方)または右下方(左上方)だったとします。屈曲した際に左右の乳頭突起の位置が揃えば、右の乳頭突起が上方および前方に動いていることになります。次に伸展してもらいます。伸展時に左上方左前方にある乳頭突起が動かなければ伸展時に揃いません。この場合、問題になるのは右後方右下方にある右椎間関節ではなく、左椎間関節が動いていないということになります。
そして、屈曲伸展は髄核の移動による椎体間関節の影響を受けるので、椎間関節に動きがないのは髄核の前方移動が上手くいっていないということになり、椎間板に対する施術が必要になることが多いです。また、動きがないのが左側なので、右側の後方下方を施術しても効果が薄いかも知れません。この逆で屈曲時に揃わず、伸展時に揃うようなら、左前方上方側には動きがあり、右後方下方側が動いていないということになります。
屈曲時も伸展時も揃わない場合
屈曲時も伸展時も揃わない場合は、髄核が動いているにも関わらず、変化がないので椎体間関節の影響が少ない変位であると予想されます。従ってこの場合は、椎間関節の問題が影響しているでしょう。
まとめ
屈曲または伸展で左右の位置が揃う場合は、椎体間関節(椎間板)と椎間関節の両方の施術を考慮します。屈曲伸展のどちらも揃わない場合は、椎体間関節(椎間板)の影響が少ないため、椎間関節主体の施術を考慮する、ということになります。しかし、これらの評価を行う場合、正確に少なくともスタティック・パルペーションの技術が必要になりますので、どの肢位でも触れるように日々の研鑽が必要でしょう。
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辻本 善光(つじもと・よしみつ)

東大阪市にあったインターナショナル・カイロプラクティック・カレッジ(ICC、旧・国際カイロ)に22年間勤め、その間、教務部長、臨床研究室長を務め、解剖学、一般検査、生体力学、四肢、リハビリテーション医学、クリニカル・カンファレンスなど、主に基礎系の教科を担当。
(一社)日本カイロプラクティック徒手医学会(JSCC)の学術大会ではワークショップの講師を、日本カイロプラクティック登録機構(JCR)の設立当初には試験作成委員を務める。ICCブリッジおよびコンバージョン・コースの講師、また個人としてはカイロプラクティックの基礎教育普及のため、基礎検査のワークショップを全国各地で開催するなど、基礎検査のスペシャリストとして定評がある。
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