岡井健DCのI Love Chiropractic !
「宝を掴みに行け!」

 皆さんお元気でしょうか? 一人でも多くのカイロプラクターの心に響くようにと、日々努力をしているドクター岡井です。今年の日本の夏はさらに暑かったようですね。私が暮らすハワイ島コナは、一年中半袖で暮らせる温暖な場所ですが、夏でも最高気温が30度を超えることは滅多にありません。夏もとても快適です。この気候もハワイに移住した大きな理由の一つです。

 さて今回は、ある方にとっては少し耳が痛い話かもしれませんが、とても大切な事について述べさせていただきます。世の中には流れとういものがあって、トレンドとも言えるでしょうが、それはファッションやライフスタイルに限らず、考え方や行動パターンにも表れてくると思います。
 

 私は60年以上の人生の3分の2以上をアメリカで暮らしてきて、日米両方の人の考え方や行動についてのトレンドの移り変わりを見て、肌で感じてきました。日米で差がある部分もあれば、共通して見られる傾向もあります。どちらが良いかというのは、好みの問題もあるので一概には言えませんが、どちらも一長一短であると思います。ただ、日本の方がより流行に敏感で、その流れに乗る人の割合が遥かに高いのは事実だと思います。

 私が日本でセミナーやソウルナイトを始めた時代は、日本社会では「脱サラ」「手に職をつける」といった言葉が飛び交っており、カイロをはじめとする徒手療法の学校は、流れに乗ってどこも大盛況でした。新たな人材の参入でカイロ業界も活気に満ちていました。ところが時代は移り変わり、今ではメディアでも「脱サラ」や「手に職」などというワードはすっかり耳にしなくなり、死語のようにさえ感じられます。そして、カイロの学校はどこも閑古鳥が鳴くようになり、殆どが閉校に追い込まれました。これは、どうしようもない世の中の流れが影響していることは、紛れもない事実だと思います。さらにその後に、追い打ちをかけるようにコロナ禍という誰も経験したことのない異常な世の中が訪れました。人類全体がどうしていいのかわからず、右往左往してしまいました。

 コロナ禍の影響で、「リモート」という言葉や概念がトレンドとなり、時代の先端のようにメディアは取り上げました。地方に移住し、スローライフを楽しむ人も増えました。私の成長期であった時代の「高度経済成長」、そして大人になる頃の「バブル経済」の頃の、考え方や行動パターンと真逆の世の中になってしまった気がします。自分の身を削るように、必死に働き、遊び、一体いつ寝るんだ、というような時代から、自分を大切にする時代になりました。歴史が物語るように、どの時代、どのトレンドにも魅力や良さはありますし、弊害もまた生まれてきます。

 いくつかの時代を2つの国で生きてきて、日本という国を外から見て気づくこともたくさんあります。本当に素晴らしい国だと誇らしく思いますが、時に心配な部分もあります。今の日本社会が、私が育った時代のようにガツガツとアグレッシブに生きる時代ではないのは十分承知しています。ネット社会となり、苦労しなくても自分のデスクから世界中の情報が簡単にゲットできる時代です。だから自然と自分から行動して新しい情報を得たり、体験したりする意欲は著しく低くなりました。世の中の出来事も所詮は他人事で、自分は安全で心地良い場所で、自分に都合の良い、楽な世界をつくって、そこで生活することに慣れていきます。情報の価値は随分と低くなり、いろいろな薄っぺらな知識は増えますが、自分で実際に行動して試行錯誤して、その情報を検証することもしなくなります。本当はそのプロセスこそが一番大切なのですが。

 私たちの手の中にあるスマホというマシーンを介して、AIという頭脳が我々をコントロールして、心身を蝕んでいるのは間違いありませんが、危険なのは我々がそのことに気づいてなかったり、無頓着になったりしていることでしょう。

 私が今、業界の皆さんに心の底から伝えたいことは、人の心身の健康を診る私たちは、少し時代に逆行した存在であるべきだということです。ネットで得た薄い知識で、患者にもっともらしく説明しても説得力に欠けます。自分で同じような症例の患者を何人も治療し、試行錯誤を繰り返し、苦しみ悩んでこそ、その知識を本物の知恵として活かすことができます。それが実力となるのです。

 同じ知識でも、ネット上の一般的なものより、経験を積んだ先生の生の声で、本当のところの話を聴くのとでは訳が違います。ふとした話の細かなニュアンスや失敗談なんてものは、我々にとって正に宝ものなのです。その場にいて、その空気感の中だからこそ気づく宝です。

 ある人は、目の前にある宝に気づくこともできないほど、頭と心が麻痺してしまっているかもしれません。逆に、頭と心がシャープに研ぎ澄まされていれば、偉大な先生方が発する思いや熱量が空気を伝わって心に響くことでしょう。それは、その場にいるために費やした時間や費用の何十倍もの価値を生むことになるでしょう。それができない、わからない木偶(でく)の坊は、きっとその時間と費用を無駄だと思うのでしょう。

 我々の業界の仲間には、そんな木偶の坊ではなく、ワクワクしながら宝探しに出かける、機動力のある闊達でキレのある人間でいて欲しいと願います。そうでなければ、自分自身という存在を宝物のような人間になんてすることもできませんし、宝の持ち腐れとなってしまうのです。どうか皆さん、積極的に自分からセミナーやイベントに足を運んで、素晴らしい先生方の知恵や技から宝物をたくさん発見しに、自分の手で掴み取りに行ってくださいね。

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岡井健(おかい たけし)DC
1964年7月4日、東京生まれ。福岡育ち(出身はこちらと答えている)。
福岡西陵高校を卒業後、1984年単身アメリカ、ボストンに語学留学。その後、マサチューセッツ州立大学在学中にカイロプラクティックに出会い、ロサンジェルス・カレッジ・オブ・カイロプラクティック(LACC)に入学、1991年に同校をストレートで卒業する。
在学中はLACCでのディバーシファイド・テクニックに加え、ガンステッド、AK、SOTと幅広いテクニックを積極的に学ぶ。
1992年、カリフォルニア州開業試験を優等で合格。1991年から1995年まで、カリフォルニア州ガーデナの上村DC(パーマー大学出身)のクリニックで、アソシエート・ドクターとして勤務した後、サンフランシスコ空港近郊のサンマテオにて開業。2001年にはシリコンバレーの中心地、サンノゼにもクリニックを開業し、サンフランシスコ・ラジオ毎日での健康相談や地方紙でのコラム連載でも活躍。
2022年8月に27年間経営したカリフォルニアのクリニックを無償譲渡し、2022年9月よりハワイ島コナに新たにクリニックを開業。庭仕事、シュノーケリング、ゴルフを楽しんでいる。
また、積極的に留学中の学生たちの面倒を見、その学生たちの帰国を皮切りに日本での活動を始める。科学新聞社(斎藤)との縁は、2005年に出版した「チキンスープ・シリーズ カイロプラクティックのこころ」の監訳に始まり、以降15年以上にわたって出版物、マイプラクティス・セミナ、カイロ-ジャーナル記念イベントなど、またカイロプラクティック・クラブとして「ソウルナイト」(スタート時はフィロソフィーナイト)など、ありとあらゆる場面で協力関係にある。

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