徒手療法の世界に身を置いて 第4回
正確な検査の重要性、必要性を求めて – Vol.4

おさがり?

娘が高3のときでした。今から3、4年前のことです。私が20代半ば、娘が生まれる前に買った当時流行の49ersのトレーナーを、タンスから引っ張り出してきて、「これ貸して」と勝手に着込んで遊びに出かけていったことがあります。

そんなの、よく取ってあったなぁーと、自分でもびっくりしましたが、未だに戻ってくることなく着てくれているのは、親としてありがたいというか、嬉しいですね!

どんなものにも流行というものがあって、一般的にはその周期が20年と言われています。だいたい10年かけてピークを迎え、10年かけて下降線をたどるといったところでしょうか? 娘からは、あと5年は戻ってこないかもしれませんし、私以上に着回しているので、きっとクタクタになってから「ありがとう」とか「サンキュー」というひと言とともに戻ってくるのでしょう!

高知の老舗かまぼこ店の反撃

コロナ禍で業種を問わず多くの老舗店が店仕舞いに追い込まれる中、業績を伸ばしている老舗店もあります。高知県にある老舗かまぼこ店が、正に老舗の技術で新しい価値を生み出しているそうです。

今や知らない人がいない「鬼滅の刃」。その老舗かまぼこ店はこの「鬼滅の刃」にあやかってか、既存の竹輪(ちくわ)を作る技術を応用し、主人公・炭治郎の妹・禰豆子が咥えている竹を作ったのです。なんとこれが小さなお子さんたちに大ウケ、「禰豆子になれる」と先を争って母親にねだり、これを母親がSNSに投稿し、次第に話題となり注文が殺到しているそうです。商品といい、その伝わり方といい、正に今風ですね。

商品開発を支える老舗店の技術こそ本質

この話、徒手療法の業界に当てはめるとどうでしょう? 「禰豆子の竹」が数あるテクニックであれば、それを生み出す「老舗店の技術」こそが検査に例えられると思います。そしてその「技術」は、その職人の知識と経験の上に成り立っているものだと思います。たとえ、その表現方法がその時代、その時代で変わろうとも、その本質は変わらないはずです。この変わらない本質こそが、日々の施術を支えてくれるものであると信じています。

決して派手さのない、表にはあまり出てこない、取り上げられることの少ない検査ですが、これを手に入れれば、流行りすたれに左右されることのない「一生もん」の宝になるはずです。


辻本 善光(つじもと・よしみつ)

現在、辻本カイロプラクティックオフィス(和歌山市)で開業。
現インターナショナル・カイロプラクティック・カレッジ(ICC、東大阪市)に、22年間勤め、その間、教務部長、臨床研究室長を務め、解剖学、一般検査、生体力学、四肢、リハビリテーション医学、クリニカル・カンファレンスなど、主に基礎系の教科を担当。
日本カイロプラクティック徒手医学会(JSCC)学術大会でワークショップの講師を務め、日本カイロプラクティック登録機構(JCR)設立当初には試験作成委員をつとめる。
現在は、ICCブリッジおよびコンバージョン・コースの講師をつとめ、また個人としてはカイロプラクティックの基礎教育普及のため、基礎検査のワークショップを各地で開催するなど、基礎検査のスペシャリストとして定評がある。

 


関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。