カイロプラクターかく語りき 第5回
カイロプラクターを探せ

利害もしがらみもない純粋なリストはあるのか

カイロジャーナル89号 (2017.6.19発行)より

 

私の卒業した学校は卒業研究の発表が必須となっていた。学生の多くがカイロプラクティックに関する題材を選ぶ中、私は東京都内で開業しやすい駅はどこなのかについて考察した。様々なデータを集め集計し数値化することで結論を導き出したおかげで、一時期の私は東京都内のカイロオフィス立地に関して誰よりも詳しかったと自負している。しかしながら、そんなデータもすぐに使い物にならなくなる。それくらいにデータの更新が行われているからだ。

実際、我が地元でも十数年前に取ったリストに載っていて未だに継続しているオフィスは3件程度しかない。これを書いている瞬間から発行されるまでの間にも情報が更新されている可能性がある。先日来られた方も別のオフィスに通っていたといい、歩いて5分の場所に新しいオフィスがあることを初めて知った。この距離で知らないなんて広告の仕方に問題があるのでは、などというのは大きなお世話か。

ただ個人的に思うのは、新規で出す人の多くがカイロを前面に押し出して来ないスタイルをとっていることだ。前面に出していたとしてもカイロに関する記述や説明が少なく、それ以外の療術や道具の説明に多くが割かれている。「カイロプラクティック」が単なる屋号と化している感が否めないのだ。

カイロをどのようにして勉強してきたのか。大抵の先生はホームページなどに経歴等を載せているものだが、その表現の仕方にはかなりの開きがある。自らの半生を事細かく振り返るものもあれば、学歴や職歴などの事実を載せただけのものもある。中には卒業した学校の名前を伏せたものもあったりする。伏せるには伏せるなりの理由があると思うのは勘ぐり過ぎなのだろうか。

そこで今度はリンクのページを開けてみる。リンクされているオフィスは出身校あるいは所属団体と関連するものが多いので、そこからその人の現在と過去が想像できる。もっとも最近ではリンクページを作らないオフィスも少なくないように思う。考えてみれば、一般の閲覧者がリンクページを利用するケースはあまりない。あるとすれば、知り合いの近くにオフィスがあるかどうか、その確認程度のものだろう。

実際、そうした問い合わせは少なくない。そしてそれが全国規模ともなると期待になかなか応えられないのが現実である。カイロプラクターが絶対的に足りないというのが一番の理由なのだが、それだけでは片づけられない問題があるのも事実だったりする。

学生時代、友人Aとこんな話をしたことがある。とあるカイロプラクターに対しての紹介を頼まれたとしたらどうするか、というものだった。私は「もちろん紹介する」と答えたのに対し、Aは「紹介しない」というのである。そのカイロプラクターは共通の友人だった。私は、人柄はもちろん実力も知っているからこそ紹介できると思ったし、Aもまたそれらを知った上で紹介しないと言っている。そこに利用者側との相性も加わるわけで、単に仲間だからといって簡単に紹介とはいかないというのが正直なところではないだろうか。

そういう私も他のカイロプラクターから紹介を受けることがある。やはり学校の同窓生からのが多いが、有難いことに業界の大先生から紹介して頂いたこともあった。そんな中、聞き覚えの無い先生の名前を聞かされることがある。どうやら所属団体のリストから最寄りのオフィスとしてピックアップされたようだ。リストにあるからといって、見ず知らずの先生に委ねるというのはどんな気持ちなのだろうか。団体によっては一定の基準を設けることで安心への担保としているところもあるだろうが、それを丸々鵜呑みにしていいものなのか、一抹の不安はよぎる。

おそらく測るモノサシが違うのだ。このあたりの話は次回にでもしたいと考えている。

利害もしがらみもない、只々純粋なるカイロプラクターのリスト。これをリンクのページとして公開できる日は来るのだろうか。それとも、もうすでに存在しているのだろうか。だとしたら、そこに私の名前はあるのだろうか。

カイロプラクター探しは簡単ではない。残念ながらそれが現状である。


山本元純(やまもと・もとすみ)

山本カイロプラクティック研究所(東京・杉並区)所長RMIT大学日本校(現・東京カレッジオブカイロプラクティック=TCC)卒業ブログ 「ちゃんとカイロプラクティックしなさい」を運営

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