この人に会いたい 栗原修D.C.「AKを語る」

今回の「この人に会いたい」は栗原修D.C.です。栗原さんとは10数年前、中川先生がまだロサンゼルス(LA)で開業されていた頃に、そのオフィスでお会いしたのが初対面で、まだクリーブランド・カイロプラクティック大学LA校の学生でした。中川先生がカイロジャーナルに連載していた「モーション・パルペーション・ノート」の中でも、施術を受けるモデルとして卒業前後の頃の姿を見ることができます。
その後、帰国してからも「AKフローチャート・マニュアル」や「AKシノプシス」の翻訳をお願いするなど、お付き合いが続いています。そして今般、この春から「AK勉強会」と「栗原ゼミ」の2つのセミナーを、科学新聞社の会議室でスタートさせることになり、また品切れ状態が続いていた「AKシノプシス」も、そこに間に合わせるように現在作業を進めています。
今回はAKに寄せる思いやこれまでのカイロプラクティックとの関わりなどを聞いてみたいと思います。

斎藤:まずはじめに、栗原さんとAKとの出会いを教えてください。
栗原:日本カイロプラクティックカレッジ(JCC、学長・須藤清次D.C.)の学生だった頃から、一部の先生がAKという言葉を使っていたので、AKという言葉だけは知っていました。実際にAKを勉強するようになったのは、アメリカに渡り大学の先輩であった仲井先生と出会い、誘われるまま一緒にセミナーに行くようになってからです。まだ学生だった自分は、正直、最初は何を言っているのかよく理解できませんでした。まだ、カイロプラクティックの大学の勉強を優先していた時期なので、AKのセミナーに行くには行ってましたが、なかなかすんなり入ってきませんでした。
斎藤:AKのセミナーは、つごうどれぐらい受けられたのですか?
栗原:1回100時間で、3回受けましたから全部で300時間受講しました。1回目はなかなか理解できませんでしたが、2回目以降からは少しずつ理解できるようになってきて、実感として掴めたと思えるようになってきたのは、やはり3回目を受けている頃からですね。
斎藤:興味が湧いてきたのは?
栗原:2回目頃からAKに興味が湧いてきました。最初はテクニックというより検査法に注目しました。テクニックは本当にたくさんあるので、まずは検査法からということです。
斎藤:中川オフィスでは、中川先生のテクニックを徹底して学んだのでは?
栗原:そうですね。矯正とかテクニックは中川先生がやっていることを、オフィスの他の先生も同じようにやっていました。しかし、それ以外のことは好きにさせてくれました。セミナーにも結構行かせてくれましたし。
斎藤:そのときは、もうD.C.として?
栗原:そうです。最低限の勉強は皆していましたから。それ以外のことでも、中川先生は積極的に学ばせてくれました。例えば、CSTやTBMみたいなテクニックをオフィスのスタッフが学んできて、オフィスでやっていると、先生は喜んで聞いていましたよ。オフィスで何を勉強しようと自由でした。
斎藤:栗原さんは帰国する前に、もう既に「シノプシス」を半分くらいは訳されていたとか?
栗原:誰が言ったのですか?半分なんてとんでもないですよ!日本の学校ですと、基礎医学を覚えて、すぐテクニックや矯正ということになります。アメリカで2回目のAKのセミナーを受けた頃から、基礎医学で学んだ生理学や神経学から離れず、繋ぐテクニックとしてこんなに詳しくやるのに驚きました。それがAKだったのです。アメリカの学校でも基礎医学は診断ではもちろん使いますが、実際のテクニック、矯正になるとやはり、トムソンやガンステッドなど日本と同じです。AKは基礎医学を使ってカイロプラクティックのテクニックを説明するみたいなところがあります。そういう面でのめり込んでいき、「AKシノプシス」を訳そうということになったのです。

栗原修D.C.

斎藤:日本での「フローチャート」のほうが先になっちゃいましたね!
栗原:そうなんです。「シノプシス」は、もう既に日本で訳されて出版されていると思っていたんです。ただ、自分にとって勉強になると思い、原書からの日本語訳は進めてはいました。まだ出版されていないのなら、「フローチャート」のほうが先でもいいかなと思い、急いで訳を進めました。帰国したばかりで時間もありましたから。
斎藤:出版とともにAKのセミナーが行われ、たちまち日本のカイロプラクターの間でブレイクしましたよね。
栗原:創始者のドクター・グッドハートが来日して、やっとAKが日本でも認められたという感じでした。ただ、AKは難しい、難しすぎるのかもしれません。AKの派手なテクニックだけを学んで、AKのすべてを理解したとは決して思ってほしくないですね。簡単に使えるようにすると誤解が生じます。AKだけではなく、カイロプラクティック全体にも誤解を生じます。

 

斎藤:いよいよ今年の5月から、「AK勉強会」のニュー・バージョンが始まりますね。全10回の1年がかりですね。
栗原:1日や2日のセミナーで、AKを勉強するというのはやはり違いますね。今回は1年に凝縮はしましたが内容はかなり濃く、しっかりAKを勉強してもらいたいという気持ちからプログラムを考えました。「シノプシス」、これはAKを日本に広めるための教科書のようなものです。その教科書を訳した自分としては、やはりAKをきちっと教え、ちゃんと広めるという義務があります。AKは簡単には覚えられません。ちょっとAKを覚えて、勝手な解釈でAKを使うのは困ります。きちっと勉強して使ってください。
斎藤:同時進行で「栗原ゼミ」も行われますが、「AK勉強会」との位置づけは?
栗原:よく人から、「先生はAKだけで治療しているのですか?」と聞かれるのです。もちろん違うのですが。モーション・パルペーションとか、カイロプラクティックの基本があって、それにプラスAKなのです。アメリカでは何が何でもAK、すべてAKでやっている人もいますが、やはり治療となったら患者さんに合わせたテクニックを自由に使うべきでしょう。何でもAKというのもよくありませんから。
斎藤:「栗原ゼミ」にはAKの要素は入らないのですか?
栗原:いいえ、これだけAKをやっているとやはり入ってしまいます。「AK勉強会」の1年を含めたものとして「栗原ゼミ」があります。AK勉強会では「こういうときはこっちのテクニックの方がいいのに」と思っても、AKを教えなければなりません。教える自分もストレスが溜まります。AKを理解した上の栗原式臨床というのが「栗原ゼミ」ということですかね!教則本通りにやるのが「AK勉強会」。制限なしに自分が気づいたトピックスを基に、臨床体験から教えるのが「栗原ゼミ」です。
斎藤:今回はパートごとに、受講できるみたいですが。
栗原:全部のパートに興味がなくても、興味のあるパートだけでも受講できるようにしました。頭蓋骨3回、内臓3回、筋骨格系が3回の計9回です。全部受講すれば、各部位と関連づけて勉強することはできますが、知りたいパートだけでも大丈夫です。
斎藤:あと1回増やして10回というのはどうですか?
栗原:もし1回追加できるのなら「問診」をやりたいですね。セミナーなどで問診を取り上げると地味になってしまいますが、私自身は問診が最も重きを置くべき勉強だと思っています。アメリカにいるときには、中川先生から嫌というほど叩き込まれましたし、本当は一番教えたいところです。
斎藤:皆さんも知りたいのでは?
栗原:問診の仕方を教えると、「そんなのだったら自分も患者さんに聞いています」という答えがよく返ってきますが、本当に聞き出さなくてはいけないのは、診断に至るまでのプロセスです。例えば腰痛一つ例に挙げても、ヘルニアなのか、筋肉だったり、腫瘍だったり、炎症だったりするわけです。問診で「ズキズキ痛いですか?」という言葉を使って、「ズキズキ痛くはありません」という返事ならば、急性期の炎症ではないということになります。そういうことを身体全体について聞いていろいろな疾患の可能性を排除しながら診断に導くわけです。そうすると膨大な量になってしまいます。大切な勉強なのですが、セミナー受けはあまりよくないですね。
斎藤:最後になりますが、さんざん出版を遅らせて聞くのも何ですが、「シノプシス」の改訂版についてお聞かせください。
栗原:改訂版は前版と比べて、さらに内容が充実しています。著者のドクター・ウォルサーが細部にわたって加筆、訂正を加えています。ますますAKのバイブルといった感じです。前版をお持ちの方も、ぜひ一度その違いを比べてみてほしいですね。

 

斎藤:今日は長い時間、ありがとうございました。5月から始まります「AK勉強会」および「栗原ゼミ」、邪魔にならないようにできるだけ顔を出そうと思っています。期待しています。頑張ってください。

 

 

 


 

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