徒手療法の世界に身を置いて
第27回 「時の流れに身を任せ」
ニュースでは「旧正月」やら「春節」という言葉をよく耳にする。中国も「ゼロコロナ」政策を解除したので、今年の春節の時期には大勢の中国人観光客が押し寄せるのでは、と事業者は国内旅行以外にも期待を膨らませているところだろう。
新暦? 旧暦?
日本では旧正月を祝う習慣はほとんどないが、中華圏では旧正月を盛大に祝う習慣があるようだ。新暦とは地球が太陽の周りを1回転する期間を1年とする「太陽暦」を指し、ローマ教皇グレゴリウス13世が制定した「グレゴリオ暦」が世界各国で使われているが、日本も明治5年(1872年)11月9日に政府が暦を新暦に切り替えると発布した。これによって、うるう年を除き1年365日12か月で時間が進んでいる。
旧暦は太陽の運行と月の満ち欠けを基準にして日付を数える「太陰太陽暦(たいいんたいようれき)」を指す。1年を約354日として、数年に1度「うるう月」を入れて季節と暦のズレの調整している。これだと1か月増える年もあって何かと大変そうだが、結局は1年の区切り方の問題なので、ずっと継続していくなら何ら問題がなさそうにも感じる。
スタートが違ってもやることは一緒
正月も旧正月もスタートこそ違うが、新年を祝う習慣はそれぞれにある。家族親族が集まったり鏡餅を準備したり、共通するところも結構あるようで、今年1年の区切りをつけるということでは同じである。
さて、この業界においても「人を診る」ということが決まっているなら、やるべきことも決まってくるはずだ。施術するための知識や技術が必要だということは言うまでもない。これらが多ければ多いほど、患者さんへの対応力になってくる。知識も技術もどちらも同じくらい大切で、どちらが欠けてもいいはずがない。もちろん得意不得意はあると思うが、早かれ遅かれどちらも勉強しなければならない。得意を伸ばすことも大切だし、不得意を減らすことも大切なことである。
時間の流れは人それぞれ
得意なことをしていくと、覚えるのが早かったり、できるようになるまで時間のかからない器用な先生もいるでしょう。その逆に覚えるのが遅かったり、できるようになるまで時間がかかり悩む先生も多いかもしれない。
私の勉強会に参加してくださっている先生方の中にも、数年全然変わらなかったのに次の年にグンと伸びた先生がいる。その先生の中で積み上げてきたものが、あるときパッとつながったのだろう。何がきっかけでそうなったのかはわからないが、大切なことは自分のペースでコツコツと続けてきたことで、それが実を結んだことは容易に想像できる。
さてさて、私事だが旧暦で2023年の二黒土星は、周りの人たちに助けられながら上昇する運のある飛躍の年回りだそうである。周りに助けられながら楽しいこと、やりたいことを、時の流れに身を任せ、また今年1年、良い年になるようやっていきたいと思っている。
辻本 善光(つじもと・よしみつ)
現インターナショナル・カイロプラクティック・カレッジ(ICC、東大阪市)に、22年間勤め、その間、教務部長、臨床研究室長を務め、解剖学、一般検査、生体力学、四肢、リハビリテーション医学、クリニカル・カンファレンスなど、主に基礎系の教科を担当。
日本カイロプラクティック徒手医学会(JSCC)学術大会でワークショップの講師を務め、日本カイロプラクティック登録機構(JCR)設立当初には試験作成委員をつとめる。
現在は、ICCブリッジおよびコンバージョン・コースの講師をつとめ、また個人としてはカイロプラクティックの基礎教育普及のため、基礎検査のワークショップを各地で開催するなど、基礎検査のスペシャリストとして定評がある。
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