これまで半世紀近くこの業界を見てきて、私より年上の方は数限りなく、また年下でも10歳と違わない人たちの中に、しゃにむにカイロプラクティック、オステオパシーに打ち込んでいる人たちがいた。彼らは何かにとり憑かれたように、その奥義を求め今なお貪り続けている。昨今のYouTubeをはじめSNSを見ていると、門前の小僧の私から見ても「何だ、これは」と空恐ろしくなる。いくら今の世の中、やったもん勝ちという風潮が強くなったと言われても、これは酷い、酷すぎる。明らかに人の体に危害を及ぼすであろう、危険な手技が跋扈している。これは本物を求める人がどんなに減っているとしても、今まで以上に本物のワザを見せつけるしかないと思い立った。そこで不定期になると思うが、今後シリーズ化して紹介しようと計画し始めたところである。まずはそのトップバッターとして、今なお道を求め続けている愛知県豊橋市で開業する荒川恵史氏に講師を依頼したところ、やっとのことで承諾を得、さらに盟友である静岡県袋井市で開業する木村功氏と共に、本格的に始める前のVol.Zeroを、ということになった。とにかく、付け焼き刃ではない腰の据わった知識と技術に裏打ちされたワザを披露していただき、「これだ!」と感じていただいた上で、学び続けていただければと願っている。身をもって感じ取る、これしかないと思っている!
斎藤信次
斎藤さんから今回のお話をいただき、所属団体のこともあり若干躊躇するところもありましたが、「今までやってきたことを誰かに伝えなくていいの? もう若くないんだしさぁー、今だったら遅くないし、ちょっと前に流行った言葉じゃないけど、いつやるの? 今でしょ!」と言われ、木村先生と一緒にやらせていただくことにしました。まずはVol.Zeroをということで、私の考え方、体の使い方を紹介させていただくことにしましたが、だからといって完全なイントロダクションで終えるつもりはありません。ご参加いただける方々の、日々の施術に役立てていただける秘訣を包み隠さずお伝えしたいと思っています。まずは、こんなセミナーができたらと考えています。
- ネットなどで、カイロプラクティック、整体の施術を見ていると、通常の運動システムの延長線上にあり、力とスピードがすべてであると言わんばかりに感じました。そんな身体運動とは違う運動システム、言うならばオペレーション・システムの違う技術が存在することを紹介したいと思っています。
- カイロプラクティックが時代と共に変容を遂げ、その原初のエッセンスが消えかけていると感じています。当然、私自身もDDやBJから学んではいませんが、様々な手掛かりから類推して、原初カイロプラクティックの香りを受講者と共有できたらと思っています。
- カイロプラクティックだけでなく、整体など他の徒手療法家の方にも、十分役に立つ体の使い方を紹介していけたらと思っています。
ステージアップを目指す方、また現在、施術で悩んでいる方のご参加を心よりお待ちしています。
荒川 恵史(あらかわ しげちか)
昭和36(1961)年 愛知県生まれ。中学生の頃より武術、武道に触れ手技治療家を目指し、19歳で上京、姿勢保険均整専門学校に入学。武道修行の縁で師匠、塙正明師と出会う。卒業後22歳で、愛知県に戻り身体均整法の施術所を開業。全国療術師協会(全療協)で療術を学び、カイロプラクティックと出会う。真言宗醍醐派当山派修験道で得度出家、恵印法流加行、七壇法の伝授を授かる。肥田式強健術、中国武術、神秘主義、大東流合気柔術など体術の修行。上部頚椎アジャストメントの施術を受け感動し、カイロプラクティック習得に没頭する。シオカワスクールで上部頚椎およびガンステッド・テクニックを学ぶ。米国ガンステッド・セミナー、侍セミナーで研鑽を積み、侍セミナーではブロンズメダリストとなる。オブジェクティブ・カイロプラクティック TIC道で上部頚椎カイロプラクティックを学ぶ。北名古屋市の空手道拳布会で空手、体術を学び、武術、武道が徒手療法のエッセンスであることを感じ、体系構築を模索。現在、全療協・常任理事、東海ブロックおよび愛知県の会長を務める。
荒川先生とは20年来の付き合いになります。ひと言で言えば、とても真摯な人です。妥協を許さず、温故知新によって様々な創意工夫を行うことで、カイロプラクティックの真髄を極めていると言っても過言ではありません。また、相当にマニアックな側面があり、聞く者の知的好奇心を揺さぶること間違いありません。さらに重要なことは、そのテクニックが本来のカイロプラクティック哲学に即しているという点です。多くのカイロプラクターがテクニックを教えていますが、本当の意味でイネイト・インテリジェンスを揺さぶるようなテクニックを教えているとは限りません。ましてやSNSなどでは、その真髄が伝わるわけがありません。カイロプラクティックを習ったのに、アジャストメントが上手くできないという悩みは私も経験しました。荒川先生の指摘で、自分自身の身体の使い方がよくわかっていなかったことに気づき、目から鱗の落ちる思いでした。先生のすごいところは、なぜできないかではなく、どうすればできるようになるのかを探究しているところです。アジャストメントが上手くできないという方は、ぜひ先生のセミナーで、そのエッセンスを体感していただきたいと思います。自分の身体の使い方を修正していくことで、患者にも安全で術者にも無理のないアジャストメントができるようになること請け合いです。
木村 功(きむら・いさお)

・柔道整復師
・シオカワスクール オブ カイロプラクティック卒(6期生)
・一般社団法人 日本カイロプラクティック徒手医学会(JSCC)で長年、理事、副会長兼事務局長を務める
・マニュアルメディスン研究会 会員
・カイロプラクティック制度化推進会議 理事