神経系の検査法に関しては、数多くのテキストで紹介されています。しかし、それらのテキストに載っているのは、ほとんど病理的麻痺および機能障害。これに対し、我々の元を訪れる患者さんの多くは、明確な病理における麻痺や機能障害というより、生理学的な問題が神経系の機能に現れた機能低下の状態です。麻痺や機能障害が、検査の反応や反射がわかりやすいのに対し、機能低下は微妙な違いを見極めるのが困難な場合が多く、気づかず見逃してしまうことも少なくありません。
これまでセミナーや勉強会の講師をさせていただいて、参加者の皆さんからよく、「神経学的な考え方もある程度は身についたかな、また検査方法も頭の中では理解できているつもりでいましたが、実際に検査で現れる反応の微妙な違い、また、どんな違いとして現れるのか、まだまだわかりません」という感想をお聞きします。この微妙な反応の違いは、実際に現象を示し確認をしないと理解できません。経験していただくしかありません。そこで今回のシリーズでは、参加者の皆さんの神経状態を検査させていただき、実際の現象の微妙な違いを観察していただき、それを解説させていただくことで理解を深めていただければと、開催させていただくことにいたしました。
10月5日『神経学検査-1』
1)パルスオキシメーターの使いかた
2)血圧
3)感覚検査
•表在感覚(触圧:識別、非識別/温痛)
•位置覚
•立体覚
•書字感覚
•2点識別覚
•振動覚障害
•タッピング検査
4)錐体路障害における反応
•深部反射亢進
•病的反射(バビンスキー徴候/ホフマン徴候/トレムナー徴候)の出現
•表在反射消失
5)筋の伸張反射/筋トーヌス
6)視野検査
7)眼底反射検査(レッドレフレックスチェック)
8)複視検査(レッドフィルターチェック)
11月9日『神経学検査-2』
1)サッケード/パースート
2)OPKテープテスト
3)輻輳検査
4)対光反射
5)顔面(三叉神経)知覚検査(Ⅴ1、Ⅴ 2、Ⅴ3/円心状)
6)角膜反射
7)ウェーバー検査
8)リンネ検査
12月14日『神経学検査-3』
1)前庭動眼反射
2)小脳検査
•ロンベルグ
•足歩行(タンデムゲート)
•指-鼻
•鼻-指-鼻
•指-指
•転換運動
•位置保持テスト
•誤示テスト
•反跳テスト
•書字テスト
•線引きテスト
•踵-膝-脛-拇趾テスト
•拇趾-指テスト
•足踏みテスト
3)眼瞼痙攣テスト
4)静止時振戦テスト
5)神経学検査に基づく中枢機能鑑別
丸山 正好(まるやま まさよし)

提唱する神経学を「局在神経学」と謳い、「神経学を学び続ける」と題し、東京(第2日曜日)、大阪(第3日曜日)で対面セミナー、さらに第1~3木曜日、午前8~10時でWebセミナーの講師を毎月務め、神経学を学ぶことを推奨し、その普及に精魂を傾けている。
増田 裕D.C. D.A.C.N.B.神経学セミナー初期メンバー。